四国八十八ヶ所札所
我が家の巡拝

風景

「第T番札所 霊山寺」

 「お大師さま! 合わすこの手にみ心は 今の喜び幸せ賜り」

四国八十八カ所霊場をめぐることを四国遍路と云われております。

弘法大師さまがお亡くなりになられた後、修行僧が弘法大師さまの足跡を辿って旅をしたの
が始まりとされており一般の人々が旅に出るようになるのは室町時代からのようです。


四国八十八カ所霊場は、1番から88番までの番号が振られております.
「発心の道場」(徳島県・阿波の国.第1番札所〜第23番札所)
「修行の道場」(高知県・土佐の国.第24番札所〜第39番札所)
「菩提の道場」(愛媛県・伊予の国.第40番札所〜第65番札所)
「涅槃の道場」(香川県・讃岐の国.第66番札所〜第88番札所)

 第1番霊山寺(りょうぜんじ)から第88番大窪寺(おおくぼじ)で終わるのが定番と
 なっております。
 四国八十八カ所千四百q全てを一度に回ることを「通し打ち」といわれます.
 通し打ちは,徒歩で60日はかかる膨大な旅になることから,近年では四国の一県だけを
 めぐる「一国打ち(一国参り)」や、何回かに分けてめぐる「区切り打ち」も増えて
 いるようです。
「お接待」は四国の遍路道の皆さまが、飲み物や食べ物等をお遍路さんに奉仕されることを
 言います。
 そこにはお遍路さんは弘法大師であるという考え方が根底にあるようです。
  「お遍路さんお茶をどうぞ」とお接待されます。
 同行二人。何時でも弘法大師さまとご一緒の二人連れです。

                   

お大師さまご真言お唱え奉ります
      南無大師遍照金剛 南無大師遍照金剛 南無大師遍照金剛

「お大師さま! お呼びする私たち三人は、今からお遍路姿で出発でございます。」

風景

 

三人とは、私たち夫婦に四歳になる孫にございます。

 お遍路としての心構えはパスしており、後は体力勝負だけでございます。
 第1番札所霊山寺にて、先ずはご本尊さまのお釈迦さまに三人で一つの乱れもなくお経を
 お唱えさせて戴きました。
 大師堂では孫が一段と大きな声でお経をお唱えするのをお大師さまがお聞きになり、孫に  お声をかけられたのだと思い有難く,私たちも負けじと孫に合わせてお唱えを致しました。

車で移動中は、孫は後ろの座席でお経本を見てお唱えの練習を致しており,分からない所は
 私たちに聞いて勉強するほど気合いの入れ込みです。
 ご本尊さまの前では、私たちの真ん中に立ち手を合わせて正面を向いて微動だにせず
 お経をお唱えする姿に、お遍路さまから、感嘆のお声をかけて戴きました。
 山門をくぐれば、わき目も振れず無言で歩く姿はとても四歳の子供とは思えない振る舞い
 にございます。

しかし後半になりますと、心身ともに疲れてきたのか食事も余り取らなくなり,その日の
 お遍路が終わる頃には発熱のため座席で横になりながらも札所に到着すると自分で起き  歩き出すのです。
 しかし疲れのせいか86番札所志度寺からは、車の中で吐き気を模様するやら、ぐったり
 した様子に中断し病院へと考えたのですが、それでも札所に到着すれば
 自分で起きだして歩るくのでございます.

風景

ところが、88番札所大窪寺に到着いたしましたらなんと元気はつらつ、一番に
 歩き出したのです。
 ご本尊さまの御前に立ち今までの孫の事を考えましたら、私たち夫婦は涙涙で
 声が出ないのでございます。

風景

「第88番札所大窪寺大師堂」

 傍にいる孫に、「大きな声でお経をお唱えしなさい」と教え、とうとう最後まで
 孫一人のお経でございました。

 私たち三人のお遍路は、大変有難い幸せな私たちの同行二人にございました.

風景

「第88番札所大窪寺」

幼子も手を合わせしお遍路には 今でも続くお大師さまのご加護

合 掌

福 江