四国八十八ヶ所札所
巡拝

風景

 

「道洗い 我をも洗うこの雨に 一歩の踏み足常に初心なり」

 
福江
                                                                         

[ご紹介]

弘法大師さまゆかりの霊場をお大師さまと同行二人のお参りは、
この世に生かされている自分を見つめ直すと同時に、「何と私ほど幸せなものはいない」と気づかせて戴く お遍路道にございます。

 各寺々に祀られたご本尊とお大師さまに手を合わせることは、真の同行二人に置かれて
 いるわが身は、御仏さまのご加護が授けられているということを実感出来るので
 ございます。
 真の同行二人とは、弘法大師さまと共に歩み、寝食を共にし、御仏さまのご真言をお唱え
 させて戴くのでございます。

お遍路の旅には、「四国遍路の三信条」、「十善戒」と言われる心得があります。

「三信条」とは

 1.「悩める者、苦しむ者が最後の一人になるまで救い尽くすであろう」という弘法大師
    さまの言葉を信じ、巡拝中は常にお大師さまと共にいる「同行二人」を忘れない。
 2. 遍路は楽しいことばかりではないことを忘れず何事も修行と心得て一切の愚痴、
    暴言を慎むこと。
 3. 現世利益(いかなる人もこの世で救われること)を信じ功徳を積んで煩悩を消す。

「十善戒」とは
 一. 不殺生(ふせっしょう):全ての命を大切にする
 二. 不偸盗(ふちゅうとう):他人のものも大事に扱う
 三. 不邪淫(ふじゃいん) :邪淫はしない
 四. 不妄語(ふもうご)  :うそ、偽りをいわない
 五. 不綺語(ふきご)   :飾らない言葉で話す
 六. 不悪口(ふあっく)  :悪口をいわない
 七. 不両舌(ふりょうぜつ):二枚舌を使わない
 八. 不慳貪(ふけんどん) :欲張らない
 九. 不瞋恚(ふしんに)  :いかりを抑える
 十. 不邪見(ふじゃけん) :間違った考えを捨てる
         人生全般における戒めが説かれております。

巡礼の衣装と道具

 菅笠(すげがさ)   :「同行二人」「迷故三界城」「悟故十方空」「本来無東西」
            :「何処有南北」と書かれており、梵字を正面にしてかぶる。
 金剛杖(こんごうつえ):弘法大師さまの分身と考えられており、お遍路でもっとも重要
             な道具。たとえ先端がすり減っても刃物で削ってはいけない。
             「地水火風空」の梵字と「南無大師遍照金剛 同行二人」の
             文字が書かれている。
 輪袈裟(わげさ)   :袈裟を略式にしたもの。参拝する時には、必ず身に着ける。
             霊場巡礼の正装具で、トイレなど不浄な場所では外す。
 白衣(はくい)    :背中には「南無大師遍照金剛」「同行二人」の
             文字が書かれている。
 数珠(じゅず)    :お遍路では真言宗用の長いものが使われるようである。
 頭陀袋(ずだぶくろ) :斜めがけのショルダーバッグのような入れ物。線香、経本、
             納経帳など巡礼に必要なものを入れる。
             「同行二人」の文字が書かれている。

参拝の作法

風景

 1. 山門で合掌一礼をする
    身なりを整えてから、仏さまと弘法大師さまに丁寧にご挨拶をする。
    山門は左側を通ってくぐる。
 2. 手と口を清める
    左手、右手の順に清め、左手に溜めた水で口をすすぐ。残りの水で柄杓の柄を
    洗う。
 3. 本堂の鰐口(わにぐち)を鳴らす
    本堂の軒先に吊るされている鰐口(金属製の鳴り具)を鳴らす。
    グループの場合代表者一人で。
 4. 納札・納経をする
    納札箱に納札を納める。写経をしてきた場合は写経を所定の場所に納める
 5. 読経をする
    本堂にロウソク一本とお線香三本、お賽銭をあげ、合掌して心静かに読経する
 6. 大師堂へ参拝する
    大師堂でもロウソクとお線香、お賽銭をあげ、本堂と同様にお参りをする
 7. ご朱印をいただく
    納経所で納経帳にご朱印をいただく。納経帳は渡すときも受け取るときも両手で
    いただく
 8. 山門で一礼する
    感謝を込めて合掌し次の札所へ

読経の作法(正式)

 1. 合掌礼拝(がっしょうらいはい)
    胸の前で合掌し三礼しながら「うやうやしくみ仏を礼拝したてまつる」と唱える
 2. 開教偈(かいきょうのげ)(一回)(経本参照)
    「仏さまの教えに会えたことを喜び、読経を始めます」
 3. 懴悔の文(さんげのもん)(一回)(経本参照)
    「今までの罪を悔い改めます」
 4. 三帰(さんき)(三回)(経本参照)
    「永遠に仏法僧に帰依いたします」
 5. 三竟(さんきょう)(三回)(経本参照)
    「永遠に仏法僧に帰依しました」
 6. 十善戒(じゅうぜんかい)(三回)(経本参照)
    「未来までずっと十善の教えを守ります」
 7. 発菩提心真言(ほつぼだいしんしんごん)(三回)(経本参照)
    「私は今、発心(悟りの世界を求めようと決心すること)しました」
 8. 三昧耶戒真言(さんまやしかいんごん)(三回)(経本参照)
    「私は仏さまの心と同じ心になります」
 9. 般若心経(はんにゃしんごん)(一回)(経本参照)
    仏教の教えを262文字に集約したもの。悟りに至る知恵を確認する
 10. ご本尊真言(ごほんぞんしんごん)(3回)(経本参照)
    ご本尊を讃える言葉。各札所のご本尊のご真言を唱える。
    大師堂へ参拝時は、弘法大師さまがご本尊のためご本尊真言は省略
 11. 光明真言(こうみょうしんごん)(三回または七回)
    「知恵と慈悲の光を与えてください」
    全ての罪が消滅するとされる。
    さらに、各札所の御詠歌を唱えると、より各札所や弘法大師さまの理解が深まる
 12. 御宝号(ごほうごう)(三回か七回もしくは二十一回)
    「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」
    弘法大師さまの尊名をあらわす
 13. 回向文(えこうもん)(一回)
    「願わくはこの功徳(くどく)をもって、あまねく一切におよぼし、
    我ら衆生と皆共に仏道を成(じょう)ぜん」と唱える
 14. 合掌礼拝(がっしょうらいはい)
    「ありがとうございます」と述べ、合掌し礼拝する

合掌の作法

 お遍路で行う合掌は、真言宗の基本の合掌である「金剛合掌」と云われるもので、
  まず左手の指と指の間を少し開けて、その間に右手の指を挟みこむように入れる

み仏さま ご真言お唱え奉ります
我が凡夫の御礼にございます。

合掌

福江