随筆自然のままに

風景

「観音さまの御手」


宮崎県延岡市三輪町の小高い山に、千二百年余になると伝えられているお寺がございます。
明治の廃仏棄釈により、無住となり荒れ寺となっていたのをご住職が復興をなされ、線香のけむりの立ちのぼるお寺となりました。
十年余り前に新しく作られた御本堂の内陣には、阿弥陀如来さま、南無聖観世音菩薩さまを、お祀りなされておられます。
聖観音様は、今を去ること八百年の昔、平家滅亡し時、平家の侍大将藤原悪七兵衛景清公が、当寺まで背負い落ちののびられた観音様で, お隠しするために一夜で掘られたと伝えある隠れ井戸には横穴が掘られ、何人たりとも井戸を覗いてはならぬとの戒めがあり,水神様と伴に祀られております。
今日もお観音様は静かにお立ちなされておられます。
平家も源氏もない今の世の中に皆が仲良く暮らしてくれたら、観音様はどんなにお喜びになられるでしょうか。
観音様と「手」をつなぎ、「和」「輪」を大きく世界中に廻そうではありませんか。
南無観世音菩薩!南無観世音菩薩!謹んで称え奉ります。

 

”手を合わせ 真言唱える人々に 
笑みを浮かべて手を差し伸べられる”

合掌

著者:さえの